GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

再開
2000年/投稿者:(町蔵)

数年前まで怪奇スポット巡りを随分行っていた私ですが

その年の夏も幽霊がでると言われる廃虚に行くことになりました。

仕事を終えた私は友人の家に寄り 明日の心霊ツアーの段取りを決めに行きました。

「・・・今度の廃虚はマジでヤバイらしいよ」

今回の話は、私の友人であるK君が探してきたものでした。

彼はさっそく仕入れてきた 怪奇スポットについて私に話し始めました。

今までもいろんな場所に行ったが

殆どがガセでホントに怖い思いをしたのはほんの数箇所。

その数箇所を探してくるのがK君だった。






「そこは以前旅館だったんだけど 火事で亡くなった人の霊が出るらしんだ」






その火事で焼け残った旅館が今でも残っている・・・







・・・不思議に思うのだが、そういった廃虚はなぜ取り壊さないのか?

よく、霊の仕業で事故が起こるとか聞くが

それは本当に稀で実はさまざまな事情があるようです。





とにかく、謎めいた廃虚が多数存在することは確かです。

「今度も怖そうだねK君・・・」

私はしばらく彼と話し、家路についた。





・・・その、帰る途中のことです。

私は赤信号で止まり、横断歩道を渡る人たちを何気なく眺めていました。

ふと信号が変わり、発車しようとした時です。

男の子が車の前で微笑んでいます。

「あぶないよ」

私は窓を開けて声を掛けました。

それでも男の子は微笑んだまま動きません。

「しょうがないな・・・」

私は車から降りようとしました。

すると・・・

「あした会おうね・・・」

そう言って男の子はすたすたと歩いて行ってしまいました。

「・・・?」

釈然としない私は、後続の車にクラクションを鳴らされ、あわてて車を出しました。











次の日の夜。









K君と私は、他の友人二名と共に、例の廃虚に向かって出発しました。

その道すがら、私は友人たちに昨日の男の子の話をしました。

「ホントかよ・・・それってまさか、今から行く廃虚で会おうってわけじゃないよな」

私のその話で、一段と怪しい雰囲気になった一同だったが

それでも行くのをやめると言い出す者はいなかった。

(その時点では、場を盛り上げるための作り話だと思ったそうです。)

山奥の現場に着き、私達は慣れた足取りでその廃虚に入っていきます。

確かに不気味この上ない場所でした。

霊感のある人なら、いくつか見えても不思議はありません。

(悲しいかな、私達の誰一人として霊感のあるものはいませんでした。)

その廃虚は半焼といった感じでしたが

外観からは想像もつかないほど内部は焼け朽ちていました。

残骸が散乱する中、私達は奥に進みました。

「あれ、この部屋は比較的被害が少ないな・・・」

その部屋は、生活品が散らばっており 机なども残っていました。

K君はその部屋を物色し始めましたが他の友人たちはそわそわしだした。

「うわ。なんか怖え〜。子供部屋じゃん」

「やだやだ、町蔵の話思い出した。早く出ようぜ」

その二人の友人が騒ぎ始めたので仕方なく私達は帰ることになりました。





・・・結局、その夜は何事もなかったのですが

後日、私達は全身に鳥肌の立つほどの恐怖におののいたのです。

その日のメンバーはK君に呼び出された。

「俺さ、あの部屋でカメラのフィルム見つけてさ、現像したんだよ」

私達は嫌な予感に、ぎこちない視線を交わしました。

「ちょっと町蔵・・・これ見て・・・」 K君は一枚の写真を私に見せました。

「・・・ああ!!!!!」

私は気を失いそうになりました。

その写真に写っていたものは




私が見たあの少年だったのです!!