GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

不思議な声
2000年/投稿者:(町蔵)

私がひとり暮らしをしている時のことです。

真夜中に一人パソコンに向かいました。

そう、今のあなたと同じように・・・・・・

夜中ですから、時折車が通るほどで、辺りはとても静かです。

こんな時はやたらに冷蔵庫などの電気製品の稼動音が耳につきます。

耳が敏感になっているのでしょうか。

その夜もそんな状態になりました。


























「・・・・か・ら・・・しょう・・」

























しばらくすると、何か・・

コソコソと、かすかに人の声らしいものが聞こえました。



「??」



近所で人が喋っているのかな?

どこかの家のTVかな?

一回耳につくと気になってしまうものです。




















「・・・ま・って・・なの・・れは・・」




















何の声だろう?

隣人たちの誰かの話し声かな?

しかし、どうも私の部屋のどこかから聞こえてくるようです。

何気なく部屋の中をうろつき、声の発生源を見つけようとしました。

・・・今いる部屋ではない。

風呂場でもない。

トイレでもない。

・・・キッチンからだ。

キッチンに行くと、わずかながら声が大きくなりました。




















「・・・おねが・い・・でて・・って」





















女の声のようです。

その時ようやく気味が悪くなりました。

「まさか、幽霊?」

さらに、どこから聞こえてくるのか探しました。

「あっ、こんなとこから・・・」

声は下水管の中から聞こえてくるのでした。

私はドキドキしながら、耳を澄ませて聞き入りました。

突然、




















「・・ほんと・でていってよ!」




















はっきりと女が叫んでいるのがわかりました。

下水管を通して、他の家の話し声が聞こえているんだな。




















「ばかや・う! ・・ころされ・えか!」




















男女が言い争っているようです。

しかも推測するに、ずいぶんと剣呑なことを言ってます。

私は嫌だ、嫌だと言いながら部屋に戻ろうとしました。

その瞬間・・





















「きゃあああ・・たすけてえええ・・・」





















悲鳴が聞こえました。

尋常ではありません。

これだけの悲鳴です。

近所ならば外から聞こえてきてもおかしくありません。

しかし聞こえてくるのは下水管の中だけ・・・。

私は馬鹿げていると思いながらも

「どうしましたあ!?」

と下水管に叫んでいました。

その途端。声はピタリと止んでしまいました。

「・・・?」

・・・なんだよ、ただの痴話喧嘩か・・・

自分自身にも呆れて、ほんとに部屋に帰ろうとした矢先・・・




















「・・・おまえ、だれだ?」




















今度ははっきりと恐ろしげな男の声がしたのです。

それも私に向かって!

さらに・・・




















「女は・・・死んだよ・・クククク・・」





















背筋がぞくりとしました。

不思議なことに下水管から声が聞こえたのは後にも先にもその時だけでした。

・・・最後の言葉が、男の悪戯であればいいのですが・・・。