これは小学校の頃知り合いのAちゃんから聞いたお話です。
あの日は確か、夏休み真っ最中で 近くの公園で「町内肝試し大会」を行っていました。
公園といってもとても広く
あたりは森に囲まれた 「自然公園」みたいなところだったので
肝試しにはうってつけの最高の所でした。
しかもその公園が出来る前、そこは火葬場だったという、強烈な場所です。
普通だったらそんな話し聞いたら 誰でも「肝試し」なんてやろうとは思いませんが
やっぱり子供だったんでしょう、変に強がって
「こわくねーよ」 なんて言ってる子供達がほとんどでした。
そう・・
ある一人の女の子の体験を聞くまでは・・
その肝試しというのは、「スタート地点」に 町内会の人達が2〜3人いて
始めに小さなメモを渡すのですがそこに書かれたものを持って
一人でゴールまで行ければOKという単純なルールでした。
途中途中で「脅かし役」の大人や子供達が控えているので
そのスタッフ達は 「来たら思いっきり脅かしてやろう」と楽しみに待っていました。
さていよいよ始まったのですが、みんな思ったより怖がらず
「脅かし役」の人達もだんだんとつまらなくなってきました。
そしてどんどんとゴールしていく子供達が見えてきたその頃
とうとう残りは後2人になってしまいました。
ゴールでは町内会の人達が待っています。
もちろん「脅かし役」の人達もまだそれぞれの位置にいます。
しばらくすると、遠くから足音が聞こえて来ました。
最後の2人のうちの1人が来たのです。
きちんとメモに記した物をもってきていました。
これで後1人が来れば 「肝試し大会」は無事終了となります。
が・・
来ないのです・・
普通でしたら遅くても10分ぐらいでゴールまで来れるはずなのに
スタートから30分ぐらい経ってるというのに いっこうに来る気配がありません。
その子は女の子でしたから流石に町内会の人達も心配して
みんなでその女の子を探しにいきました。
ゴールから逆に向かって歩いているうちに一人の男の子が
「あ、あれじゃない?」 と町内会の人にいいました。
いたんです。
その女の子は木々に囲まれた森の中で うずくまって一人で泣いていたのです。
もう服や、手足などは泥で汚れていました。
すかさず私達はその女の子の所に行き 「もう大丈夫だよ」
「ごめんね、恐かったね」 となぐさめていたのですが・・
急にその女の子はこんな言葉を叫びだしました。
「お姉ちゃんがぁーー!」
「血まみれのお姉ちゃんがぁぁー!!」
流石に私達は寒気がしました。
だって「脅かし役」のスタッフ達は みんな「男」だったのですから。
それに女装した人達だっていませんでした。
その時一人の男の子が出て来て
「その子さっき俺が人形を目の前に投げたらいきなり泣き出したんだ」
「俺もあんまり怖がるから逃げて来ちゃったんだ・・ごめん・・」というのです。
そう、彼は「脅かし役」で普通に出て来て 「わっ!」と脅かすはずだったのですが
それじゃつまらないと思い
偶然近くに落ちていた「女の子の人形をその女の子の目の前に投げた」 らしいのです。
ですが・・
どうやらその人形は女の子の目には 「人形として写らなかった」様なのです・・
「白い服を着た、血まみれの女の人が 目の前を横切った!」
少し落ち着いてから女の子がそんな事を言いました。
「白い服・・・・?」
なんとその人形の服も白でした・・
私達は場所が場所だけに 「ここでやったのが間違いだったみたいだな」 と言い
人形をその場に置いてすぐに皆を集めて帰りました。
子供って、大人には見えない「何か」を持ってるとよく聞きますが、
その時始めて実感しました。
今もあの人形はあるのでしょうか・・
何かもうあそこには近づいては行けないような・・そんな気がします・・