GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

ついてくる女
2000年/投稿者:(五十嵐)

7年ほど前から 私は度々同じ女を目撃するようになりました。

その女は季節に関係なく赤いツーピースを着ています。

しかも、私の周りにいる人は大抵




「見えない」




というのです。

その女が見え始めた頃は何もされないので別に気にはしていませんでしたが

見え始めて半年が経ったある日その出来事は起こりました・・・




それは学校から帰るいつもの帰り道。

文房具屋の前を通る道でした。

女は居たのです いつものように其処に立っていました。

私は 「ああ、またあの人が居るな」 くらいにしか思いませんでした。

それくらいに馴れてしまっていたのです。

友達と、何も見ていないかのように会話をし気付いていないかのように

通り過ぎようとしました。

いつもはこれで終わるのです。

しかし、その時だけは違いました・・・・







女は私の後を追って何処までもついてくるのです。

そして、信号で立ち止まったとき、女は私に何か言いました。























「見えてるんなら見えてるって言いなさいよ」
























淋しかったのでしょうか。

誰も自分に気付いてくれなかったことが淋しかったのでしょうか・・

その事があってからは極力心の中で声をかけるようにしています。

街であったときも、道ばたであったときも。

そうすれば女は少しだけ笑ってくれるのです。

最近では遭遇する確率が低くなってきていますが 女は満たされているでしょうか。

いつか完全に会えなくなる日が来ると思うと少しだけ淋しい気がします。