免許を取ったばかりの頃
車に乗りたいと言う理由だけでトラックの運転のバイトをしていました。
仕事の内容は県内の彼方此方のスーパーに
夜のうちに「もやし」を運ぶ仕事でした。
12時頃工場を出てしまえば、後は一人きりなので
よく暇な友達が同乗してドライブ気分で配達していました。
その日も、3人で、わいわい言いながら走っていました。
道は、昔宿場町だった所に有るようなメイン道路なのに
比較的狭い片側1車線の道路の両側に古臭い木造の家が並んでいるような道です。
深夜の2時過ぎ、この道をおしゃべりしながら 60キロ位で走っていました。
街頭もあまりなく、時間も時間なので周りには、車も人も居ませんでした。
その時、前方を白い乗用車が左から出てきて一時停止もせずに横切りました。
いつも走っている道なのでそこに路地が有るのは知っていました。
その路地から飛び出したのです。
この時は、距離が50m〜100m有ったので 別に危険は感じませんでした。
同乗していた二人と
「今の車まったく止まる様子もなく横切ったけど危ねえよな」
「もう少し近かったら横に突っ込んじゃうよ」 などと話しながらその路地の所へ来ました。
此処で全員口を利かなくなり、固まってしまいました。
その場所は、左側には路地が有るのですが
右側は、延々と続く文化塀で、 (コンクリの支柱にコンクリの板が挟まって積み重なった奴)
何処にも隙間がなかったのです。
あの車は、いったい何処に行ってしまったのでしょう。
3人が見たまま信じれば コンクリの塀に吸い込まれたとしか思えません。
そう言えば、暗い中で、けっこう距離が有ったのに
輝くような白いボデイは一寸異様です。
その後、しばらく車内に沈黙が続きました。
私もなるべくバックミラーは見ずに次の町まで走りました。
3人が目撃したあれはなんだったのか、いまだに解りません。