GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

まちぼうけ
BestHorror2001年/投稿者:(町蔵)

この話は今年、スノボーに行った雪山で起こった不思議な出来事です。


実際、雪山で吹雪かれたりすると、まったくもって不安な気持ちになりますが

私たち四人の男女 はまさにそんな状況に陥りました。

ブリザードを避けようと、大木の陰に一塊になった私たちは

吹雪が止むのを重い沈黙の中、待つだけでした・・・








暫しの沈黙の後、友人Kが口を開きました。

「この様子じゃ、止みそうにないな・・・」

そんなKに、雪山での遭難なんて想像したこともない私は楽観的に言いました。

「平気だよ、ゲレンデからそう離れてないし・・・ほら、携帯だって持ってきた」

「電話してよ。あたし怖い・・・」

そう言って不安な眼差しを向けたM子は、連れのT未にしがみ付いた。

この二人、実はナンパしたばかりの女の子たちである。

最悪の出会いになった。

「わかった」 幸い電波は通じていた。

電話の向こうでその場を動かないようにと執拗に言い含められた。

「すぐにレスキューが来るって」















それからたぶん十五分後、突然私の携帯電話が鳴り出し、止んだ。














「なに? 今の?」

「わからない。非通知だ」

「こんな時に間違い電話かよ!」

そしてさらに十五分くらい経った。

「遅くない?」

「落ち着けよ。こんな状況じゃ探すのだって大変だ」

そうは言うものの、侵食してくる冷え込みはいや増すばかりだった。

その時!








「おおーい! おおおーい!!」








人の声が聞こえてきた。








「助けに来た!」



「おおおーい!ここだあー!おおおおーい!」







一同は胸を撫で下ろした。

助かったと・・・







「あれ?」







Kが不信な声を上げた。

「なんか声が遠くなってないか?」

「吹雪で声の出何処がわからないんじゃないか?」

「うそだろ?!」

私たちは声をあらん限りに叫んだ。

しかし、助けの声は今や聞こえなくなり聞こえるのは吹雪く風の音ばかりだった。

「おい! もう一度携帯を・・・」

Kが言うよりも先に電話を試みていた私は、声もなく首を振った。

「圏外になってる・・・」

「もう限界! あたし行くからね!!」

突然M子は立ち上がったと思うと、吹雪の中を走り出した。

「おい!! 待てよ!」

止めようとしたKだったが、足が雪に捕られ転倒した。

「M子!!」

T未が狂ったように叫ぶ中、私はM子の後を追った。

はっきり言って最悪の事態だった。

下手をすれば全員死んでしまうかも知れない。

そう思いながらM子のちらほら見える後姿を追う。

しかし、彼女の足取りは存外に速く、その姿はしばしば吹雪きに遮られる。

「止まれ!!死んじまうぞ!!」

そう叫びながら追う私は、ふと奇妙なことに気づいた。

彼女は確実にパニックっているが、何処を目指しているんだ?

彼女の足取りは迷うことなく何処かを目指しているようだ。

「おい! 待てって!!!」 彼女の姿を完全に見失った。

やばい。

彼女だけじゃない。

私自身も危険なことに変わりはない。

「くそっ!」 とにかく戻ろうにも道なんかわからない。

自暴自棄になりかけた瞬間、かすかに声が聞こえた。

「おおおーい! おおおーい!!」

助けが来た! 私は今度は間違いなく声のする方ににじり寄って行った。

レスキュー隊にこっ酷く怒られた私は、私より先に救助されたKの元に行った。

「T未は?」

苦笑いの私に、Kは苦笑いを返した。

「怒って帰っちまった・・・」

「で、M子は?」

「・・・病院だ」

「・・・」

「崖から落ちたらしい・・・」

声もなくうな垂れる私たちを突然の電子音が驚かせた。

「なんだよ・・・」

「メールだ」

私はそのメールを見てまさしく凍りついた。































『・・・いつまで待たせるの?』