今回は直接の友人が体験した話をしたいと思います。
彼は釣り好きのK君といいます。
中でも海釣り、その上夜釣りが好きなんです。
当時、毎週のように出掛けてきては酒の肴を提供してくれました。
しかし今ではもう、海釣りは行ってません。
なぜなら、こんなことがあったからなんです・・・。
K君は釣り仲間のM君と一緒に、その週も夜釣りに行くことになりました。
場所は千葉県、勝浦近くの某岩場。
彼曰く、大物が集まる穴場だそうです。
その日も大物狙いの装備です。
夜中の二時過ぎ・・・。
それまで二人は数匹の石鯛や黒鯛などを釣っていました。
「おっ、また来たぞ!」
K君は確かな手応えに声を上げます。
さらにガクンッと引きが強くなってきました。
「でかいぞ!」 彼は釣竿を取られまいと必死に押さえ、慎重にリールを絞った。
「くうー、手強いなっ!」
百戦錬磨の彼でもなかなか釣り上げることができません。
そればかりか、海中の獲物はグイグイと竿を翻弄し
油断すれば竿を持っていかれそうになります。
「俺も手伝うぞ!」
友人のM君も応援に駆けつけます。
押し合いがしばらく続き、二人が汗だくになった頃ようやく海中の獲物が姿を現しました。
「あっ! なんだ鮫だよ!」
M君が落胆の声を上げた。
鮫はたびたび掛かる外道 で、嫌われもの。
(釣り用語で狙いの魚以外のもの)
たいていは釣り糸を切ってしまいます。
しかし、K君はせっかくここまで頑張ったのだから、釣り上げたい。
と、M君に伝え、M君も了解しました。
それにしても巨大な鮫だったらしいのです。
やっとのことで釣り上げた鮫は魚に詳しい二人の釣り吉が見たこともない鮫でした。
とにかく危険なので、鮫の頭を殴って大人しくさせた二人は まじまじとその鮫を観察した。
「・・・でかいな」
「くそ! まるまる太ってやがる!」
K君は憎々しげに鮫を睨んだ。
その鮫の口には石鯛の尾が見えている。
鮫は餌に食ついてくるのではなく、一回掛かった魚を狙ってくるのだ。
「何匹呑んでるんだ? こいつ」
K君はナイフで鮫の腹を割いた。
そうしたら・・・出るわ出るわ。
何十匹もの魚達が腹から出てきた。
その時・・・ ドロリとしたものが一緒に出てきた。
それを目にした時、一瞬それが何なのか解らなかったそうです。
だが、一瞬後・・・
「げええええ!!!」
「うああああ!!」
二人は絶叫しました!
なんと魚達に混じって半ば消化された人の手首が出てきたのです!!
K君は鮫もろとも海に蹴り落としてしまったそうです。
ですから、あの手首が誰のものなのか解らず終いです・・・・・。