GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

日本刀
2000年/投稿者:(RRR)

私が小学生だった頃話です。

(ずいぶん昔)

ある日、父が2振りの錆びて古ぼけた日本刀を転売目的で

田舎の農家から安く買い取ってきました。

父の友人によると、1振りはダメだがもう1振りは

安土桃山時代の物で高く売れるかもしれないと言う話でした。

とりあえず日本刀は我が家の戸棚に保管される事になりました。

日本刀を保管して3〜5日後に


























兄がブランコから転落、両手首を骨折し入院しました。


























その3〜5日後


























兄の看病の帰途、両親の乗った車にトラックが追突































両親ともに入院してしまいました。

家族で無事なのは私だけとなってしまい1人では生活出来ないと判断され

親戚のお姉さんが我が家に泊まり込み私の世話をする事になりました。

お姉さんが家に来て3〜5日後

今度は、お姉さんの実家が火事(ボヤで済んだ)になりました。

ただごとで無い事を感じた父は病院を抜けだし慌てて日本刀を返却に出かけました。

不思議に返却後は何もおこりませんでした。

父の友人によると安土桃山時代の刀の方は

武士の持ち物じゃなく金持ちの町人が持っていた物で

何度が実戦(斬り合い)に使用された形跡があるとのことでした。






後で解ったのですが父が刀を返しに行った日に私は不思議な体験をしていました。

その日、私は親戚のお姉さんの実家に居ました。

(火事騒ぎの後、私を1人に出来なかったお姉さんは

実家に私をつれ帰り事後処理の手伝い

私は学校を休み3日間お姉さんの実家に滞在する事になる)


暇だったので近くの小川(水深は深い所で20〜30cm) に入り

魚を追いかけて遊んでいた時です。

背後に違和感を感じて(誰かに呼ばれた様な気もする?)

振り返ると4〜5m後方から黒い背鰭が水を切って私に向かって進んできました。

(水面から30cm程度の高さの三角の背鰭)

私は、とにかく水から出なくてはならないと思い

(誰かに水から出ろと言われたような気もする?)

背鰭を見ながら

(水は澄んでいるのに背鰭しか見えない)

慌てて小川を飛び出しました。

背鰭は、私がさっきまで立っていたところで水中に潜るような感じで沈んでいきました。

くどいようですが水深は10cm程度しか無いんです。

その後は何もおきませんでした。






話が戻るのですが兄が両手首を骨折する前日

放課後一人で家にいた私は好奇心から 前記の日本刀で遊んでいたのです。

最初、ただ振り回していたのですが、重くて巧く振り回せないので

座り込んで眺めると刀身全体に粉をまぶしたような錆が付いているのですが

何かでこすれば簡単に取れる様な感じがして何か斬れると言う感じがしました。

そこで、おもちゃの刀を両足の裏ではさんで敵が私を斬ってきたような角度で固定して

それを本物の刀で払つてみたのですがおもちゃの刀にキズが付くだけでした。

刀が重い為だんだんと力が入らなくなり

おもちゃの刀を本物の刀でなでる様な感じになったときです。















スパッ


と言う感じでおもちゃの刀が斬れたのです。

















切り口も綺麗なものでした。

刀は軽く引くか押すかすればとても良く斬れたのです。

後に包丁で日本刀と同じようにおもちゃの刀を斬ったのですが

3mm程度刃先が食い込むだけでとても斬れませんでした。

ゴム人形・靴・プラスチックのおもちゃ・など

刃先でなでるだけでスパッと真っ二つになりました。

そのうちに生き物を斬ってみたくなり

(その時はネコか犬を斬る気でいました)

日本刀を持って外に出ようと玄関で靴を履くために

刀を床に置いた時で

(刀が手から一瞬離れた)

やってはイケナイと言う思いがこみ上げてきました。

(誰かに刀を鞘におさめろと言われたような気もする?)

わたしは、速攻で刀をもとの場所に戻し二度とさわりませんでした。

ただ、あの日本刀の切れ味の感覚は今でもこの手に残っています。

斬ると言うのではなく勝手に斬れると言う感覚‥‥‥

十数年後、

私はあの日本刀を返した農家の住所と名前を 父から聞き出すのに成功しました。

(父はなんど聞いても絶対に教えてくれませんでした)





翌日会社を休み、その農家に向かいました。

私は、どうしてもあの日本刀が欲しかったのです。

どうしても自分の物にしたかったのです。

あの日から、あの日本刀の事を忘れた日は一日もありませんでした。

歯が浮きそうですが、表現するなら恐れながら愛すると言うような感覚です。

やがて高速道路からあまり離れていない

段々畑ばかりが目立つ谷間の目指す集落につきました。

12〜13家屋の小さな集落で半分以上が廃屋です。

一軒の廃屋を見たとき、すぐに此処だと解りました。

そして、あの日本刀がここに無い事もすぐに解りました。

くすんだ表札で家族構成を確認し

音信不通だった遠い親戚と言う設定で情報を集めました。

解った事は○○家の墓の場所と表札に記載されていた

5人のうち生きているのは次男だけで現在は音信不通と言うことだけでした。

何故か次男はすでに死んでいると思えてきました。

そして、この一族は、あの刀のもともとの所有者ではないと感じました。




いつか、あの日本刀を‥‥‥‥