GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

迷い道
BestHorror2000年/投稿者:(町蔵)

数年前まではよく、怪奇スポットと呼ばれる場所に行っていました。

その夏も、恒例となったミステリーツアーに行くことになり

友人達六人と、二台の車で出かけました。

場所は埼玉県のとある怪奇スポット。

昔、宿の主人が家族を惨殺したといわれる山荘が 今も残っているらしいのです。

よくある話ですが、そこはやはり






「でる・・・」





と口コミで広がった有名な場所です。

その場所を知ってる友人Aの乗る車を先頭に私達は夜の道を走ります。

山間部に入り、自動販売機の並ぶ休憩所で一休みすることに。

「ここからは一本道だから、迷うこともないよ。」

「でも途中、車を止めて歩いて行かないと入れないほど荒れた道を行くからね」


場所を知るAが説明します。


「あっ、そうなの? じゃ、悪いけど先に行っててくんない。

B子が気分悪いんだって」

私達はB子とその彼氏を置いて、先に出発しました。

残りのメンバー一台で一本道を進み、その荒れた道に入りました。





「ほんとにこれじゃ車は無理だ」





荒れた道は舗装もされず、背の高い草が覆い被さっていました。

山道は外灯も無く、それだけで薄気味の悪いところでした。

私達は懐中電灯を持ち、歩き始める。


















「なんか雰囲気悪い・・・」

















霊感があるというC子がぼそりと呟いた。



しばらく進むと、Aが声を上げた。



「あれ。おかしいな、まだ着かないよ」

「迷ったか?」



とは言うものの一本道です。

迷いようがありません。



「戻ったほうがよくないか?」



私達は怖じ気づき、各々の顔を見比べました。

誰の顔にも不安が見て取れます。

戻ろうということになり、元来た道を引き返します。

ところが・・・

















「・・・!」



















「おい! どういうことだよ!」


誰かが叫びを上げました。


なぜなら
































道が「三本」に分かれていたのです。































ゾッとしました。

そこにいる全員が感じているはずです。




























「戻ろう・・・」

「いや、このまま進もう」

恐怖からか、皆声も荒く言い合いました。

「このままじゃ、嫌なことが起こりそう・・・」

C子の呟きに全員が冷静さを取り戻しました。

「とにかく俺たちが来たのは一本道なんだから、この道は間違ってる。戻ろう」

私はみんなを説き伏せ、戻ることにした。

しかし戻ったのはいいが、再び・・・


























「そんな馬鹿な!」
































道は二本に分かれていた。

























右と左。

知らず知らずに全員が身を寄せ合う。

不気味な空気が包んでいた。

どちらに進もうか途方に暮れたその時











「おおい! A! C子!」











と声が左の道の方から聞こえてきた。

私達は安堵のため息を吐いた。

その声は後から来たB美とその彼氏だった。

「助かった!」

私達は無事帰路につくことができた。

だが、あのまま迷っていたならば・・・

いや、考えまい。

私はここにいるのだから。