これは私が学生の頃、友人のMさんから聞いたお話です。
Mは昔から怖いものや、心霊スポットなどに妙に敏感な人でした。
いわゆる「怖いもの好き」という奴でしょう。
その為か、地元で心霊スポットと呼ばれる所は ほとんど行き尽くしており
「結局幽霊なんていない」と断言しているぐらいの人でした。
そうです、Mはそれだけ心霊スポット巡りをしても
未だ霊体験というものをした事がなかったのです。
しかし、ある週末の夜の事・・・・
その日Mは友人(W)と一緒にMの家で遊んでいました。
暫く二人でまったりと時間を過ごしていると。
Wが突然・・
W>「そういえばMさぁ、心霊スポットとか好きだったよね?」
「超ヤバイとこあるんだけど行った事あるかな〜?」
とMに言うのです。
M>「何、何それどこどこ!」
流石はMです、そういう話しには目がありません。
Mは興奮しながらWに聞き返します。
W>「んとね、●坪トンネルっていう所なんだけど、知ってる?」
M>「あー、知ってる知ってる!有名じゃんよ。あそこ」
「俺あそこ前行ったけど、何も出なかったよ?」
Wが答えます。
W>「あ、やっぱり行ったのか。」
M>「ん?ああ行ったけど、どうした?なんかあるのか?」
Wが顔をこわばらせて言いました・・
W>「いやな、あのトンネル内でクラクションを3回鳴らすって奴あったろ?
あれじゃなくて、あのトンネルを出てからの噂しってるか?」
「あのな、あそこのトンネルを通過して暫く車を止めて待ってると
あの世からお迎えが来るんだってよ。」
「本当かどうか知らないけどヤバイねあそこは」
M>「え、何それ初めて聞いた!W、今日そのトンネル一緒に行ってくれないか?」
とMはWに●坪トンネルへ行こうと半ば強引に誘い
結局二人はその日そのトンネルへ向って車を走らせたのです。
どれくらい走ったでしょうか・・
Mの住所からだとその目的地は結構な距離でした。
高速を抜けた後、コンビニなどで現在地を確かめながら
ひたすら地図の指す目的地の方向へ向います。
暫く走っていて、以前来た事のあるMは
「もうこの辺だぞ」と言い徐行気味に車を走らせていました。
その頃もうあたりは真っ暗になっていました・・・
また暫く車を走らせていると・・・
M>「着いた!!ここだここ!」
「W、起きろ、着いたぞ。●坪トンネルだぞ!」
助手席に座っているWは図々しく眠っていました。
W>「う、、ん・・」 Wはなかなか起きません。
仕方なくMはWを放っておき車をトンネルに向って走らせました。
「トンネルを通過した時点でWを起こせばいい。」
Mはそう考えていたのです。
「グォォーーーーーン」 と一気にアクセルを踏み
短い様で長く感じるトンネルを通過していきます。
隣でWはいびきをかき始めました。
M>「おい、W起きろよ!もうトンネルも通過したぞ!おい。」 とMはWを必死で起こします。
するとWは。
W>「う・・ん・・お、おうすまんすまん、もう着いたのか。早いな。」
「ふぁぁ〜良く寝た」
M>「全く、普通寝るかよ」
「帰り運転頼むぞ」
W>「ちょ、ちょっと待って!」
Wが妙に焦っていました。
W>「誰かこっちに向かって来てるぞ!」 「ミラー見てみ!!」
M>「え!!何!嘘だろおい!」
そう言いながらMはルームミラーとサイドミラーを交互に確認しました。
Mは見ました・・・
確かにMとWを乗せた車に向って人間らしき誰かが歩いて来ているのです・・
こんな夜中に一体誰が・・・・
そんな事を考えている最中にも謎の人影は近づいてきます・・・
やがて・・・・
「コン・・コン・・・・・」
「!!!!?」
彼らの全身から血の気が引きました。
車の窓には濃いスモークがかかっていたので外にいるのが誰かは見えません。
心霊スポットで有名なこの●坪トンネルの出口で
何者かが彼らの車の窓をノックしているのです!
ノックされた窓・・・
それはW側でした震えた声で小さくWはMに言います。
W>「な・・・なぁ、、、どうするよ・・・」 「これ絶対ヤバイって!!早く逃げようよ!!」
そんな言葉に対してMの考えは全くWとは逆でした・・
M>「ちょっとだけ窓開けてみようぜ」
W>「ちょ、ちょっと待てよ!ノックしてるの俺側なんだぞ!」
「まじ勘弁してくれよ!!!」
彼らがそんな言い合いをしてると・・・・
「コン・・コン・・」
と再び窓をノックするのです・・・
しかも今度はM側です・・ Wが言います。
W>「お、おい絶対やめといた方がいいよ・・なぁ・・ヤバイって絶対・・」
M>「いや、大丈夫、ちょっとだけしか開けないから。」
Mはそう言いながら自分側の窓を2cm程度ゆっくりと開けました・・・・
すると・・・・
顔ははっきりとは見えませんでしたが 外に一人の男性らしき姿がありました・・
そしてこう言うのです・・
「すみません・・ちょっとこのトンネルの入口で事故ってしまいまして」
「この先もうすぐ街がありますので、そこまで乗っけていって貰えませんか?」
彼らは一瞬、本当に出たのかと思っていましたが・・・
口調からしてどうやら普通の生きた男性のようでした。
ホッっとした彼らは、快く
「いいですよ」
と言いました。
そして安心したのかMがWに言います。
M>「なんだよ、お前ビビリすぎだよ。驚かせんなって。」
W>「いや、だってこの場所だぜ?驚いて当然だろう?」
M>「全く・・結局何もいないな」 2
人でそんな事を言ってると、外にいた男性が・・・
「あのぅ・・・・」
「友達もいるのでそいつらもいいでしょうか・・?」
と何やら気まずそうに聞いてきました。
M>「あ、いいですよ、怪我とか大丈夫ですか?」
そうMが返した瞬間!
その男性は背後にあるトンネルに向って大声でこう叫んだのです!
「 いいってさあぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」
「!!!!!!!」
彼らはその男性のあまりの大声に驚き何事かと
ハッ!とトンネルを振り返りました。
するとそこにはとんでもないものがありました・・・・
妙に動きの不自然な人らしきものが
後ろのトンネルからワラワラと出て来たのです!!
Mはとっさに外の男性に目をやると
その男は
「ニヤッ〜」
とかすかではありましたが笑っているのです!!
「ヤバイ!!」
そう直感で感じたMは窓を閉めるよりも早くアクセルを踏みその場を立ち去りました。
M>「・・・・・・・・・・・・・・・・」
W>「・・・・・・・・・・・・・・・・」
暗黙の了解という奴でしょう。
家路に着く途中は何もなく無事に帰ることはできたそうですが
二人は震えながら、自宅に着くまで暫く何も言えなかったそうです。
2人が何か物理的な危害を加えられた訳ではありませんが
このお話で確実に言える事は あのトンネルで
「MとWは何かこの世のものでないものを見た・・・」
という事です・・・
実際あのトンネルに纏わるお話はこれだけじゃありません。
もしこのお話をお読みになって 実際にあのトンネルへ行って何かありましても
私は一切責任は持ちません。
全ての行動は自己責任でお願い致します。