GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

ヒッチハイカー
2000年/投稿者: (zen)

これは私が学生の頃、友人のMさんから聞いたお話です。



Mは昔から怖いものや、心霊スポットなどに妙に敏感な人でした。

いわゆる「怖いもの好き」という奴でしょう。

その為か、地元で心霊スポットと呼ばれる所は ほとんど行き尽くしており

「結局幽霊なんていない」と断言しているぐらいの人でした。

そうです、Mはそれだけ心霊スポット巡りをしても

未だ霊体験というものをした事がなかったのです。

しかし、ある週末の夜の事・・・・



その日Mは友人(W)と一緒にMの家で遊んでいました。

暫く二人でまったりと時間を過ごしていると。

Wが突然・・



W>「そういえばMさぁ、心霊スポットとか好きだったよね?」

「超ヤバイとこあるんだけど行った事あるかな〜?」



とMに言うのです。



M>「何、何それどこどこ!」



流石はMです、そういう話しには目がありません。



Mは興奮しながらWに聞き返します。



W>「んとね、●坪トンネルっていう所なんだけど、知ってる?」



M>「あー、知ってる知ってる!有名じゃんよ。あそこ」

「俺あそこ前行ったけど、何も出なかったよ?」



Wが答えます。



W>「あ、やっぱり行ったのか。」



M>「ん?ああ行ったけど、どうした?なんかあるのか?」



Wが顔をこわばらせて言いました・・



W>「いやな、あのトンネル内でクラクションを3回鳴らすって奴あったろ?

あれじゃなくて、あのトンネルを出てからの噂しってるか?」

「あのな、あそこのトンネルを通過して暫く車を止めて待ってると

あの世からお迎えが来るんだってよ。」

「本当かどうか知らないけどヤバイねあそこは」



M>「え、何それ初めて聞いた!W、今日そのトンネル一緒に行ってくれないか?」



とMはWに●坪トンネルへ行こうと半ば強引に誘い

結局二人はその日そのトンネルへ向って車を走らせたのです。






















どれくらい走ったでしょうか・・

Mの住所からだとその目的地は結構な距離でした。

高速を抜けた後、コンビニなどで現在地を確かめながら

ひたすら地図の指す目的地の方向へ向います。

暫く走っていて、以前来た事のあるMは

「もうこの辺だぞ」と言い徐行気味に車を走らせていました。

その頃もうあたりは真っ暗になっていました・・・

また暫く車を走らせていると・・・





















M>「着いた!!ここだここ!」

「W、起きろ、着いたぞ。●坪トンネルだぞ!」




助手席に座っているWは図々しく眠っていました。




W>「う、、ん・・」 Wはなかなか起きません。

仕方なくMはWを放っておき車をトンネルに向って走らせました。




「トンネルを通過した時点でWを起こせばいい。」




Mはそう考えていたのです。




「グォォーーーーーン」 と一気にアクセルを踏み

短い様で長く感じるトンネルを通過していきます。

隣でWはいびきをかき始めました。




M>「おい、W起きろよ!もうトンネルも通過したぞ!おい。」 とMはWを必死で起こします。





するとWは。

W>「う・・ん・・お、おうすまんすまん、もう着いたのか。早いな。」





「ふぁぁ〜良く寝た」

M>「全く、普通寝るかよ」

「帰り運転頼むぞ」





W>「ちょ、ちょっと待って!」




Wが妙に焦っていました。




W>「誰かこっちに向かって来てるぞ!」 「ミラー見てみ!!」

M>「え!!何!嘘だろおい!」




そう言いながらMはルームミラーとサイドミラーを交互に確認しました。




Mは見ました・・・




確かにMとWを乗せた車に向って人間らしき誰かが歩いて来ているのです・・



こんな夜中に一体誰が・・・・



そんな事を考えている最中にも謎の人影は近づいてきます・・・

やがて・・・・

























「コン・・コン・・・・・」

























「!!!!?」






彼らの全身から血の気が引きました。

車の窓には濃いスモークがかかっていたので外にいるのが誰かは見えません。

心霊スポットで有名なこの●坪トンネルの出口で

何者かが彼らの車の窓をノックしているのです!

ノックされた窓・・・

それはW側でした震えた声で小さくWはMに言います。




W>「な・・・なぁ、、、どうするよ・・・」 「これ絶対ヤバイって!!早く逃げようよ!!」

そんな言葉に対してMの考えは全くWとは逆でした・・

M>「ちょっとだけ窓開けてみようぜ」

W>「ちょ、ちょっと待てよ!ノックしてるの俺側なんだぞ!」

「まじ勘弁してくれよ!!!」

彼らがそんな言い合いをしてると・・・・









「コン・・コン・・」









と再び窓をノックするのです・・・

しかも今度はM側です・・ Wが言います。



W>「お、おい絶対やめといた方がいいよ・・なぁ・・ヤバイって絶対・・」



M>「いや、大丈夫、ちょっとだけしか開けないから。」



Mはそう言いながら自分側の窓を2cm程度ゆっくりと開けました・・・・

すると・・・・

顔ははっきりとは見えませんでしたが 外に一人の男性らしき姿がありました・・

そしてこう言うのです・・











「すみません・・ちょっとこのトンネルの入口で事故ってしまいまして」


「この先もうすぐ街がありますので、そこまで乗っけていって貰えませんか?」











彼らは一瞬、本当に出たのかと思っていましたが・・・

口調からしてどうやら普通の生きた男性のようでした。

ホッっとした彼らは、快く






「いいですよ」






と言いました。

そして安心したのかMがWに言います。

M>「なんだよ、お前ビビリすぎだよ。驚かせんなって。」

W>「いや、だってこの場所だぜ?驚いて当然だろう?」

M>「全く・・結局何もいないな」 2

人でそんな事を言ってると、外にいた男性が・・・







「あのぅ・・・・」

「友達もいるのでそいつらもいいでしょうか・・?」








と何やら気まずそうに聞いてきました。

M>「あ、いいですよ、怪我とか大丈夫ですか?」

そうMが返した瞬間!

その男性は背後にあるトンネルに向って大声でこう叫んだのです!

























「 いいってさあぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」






















「!!!!!!!」

彼らはその男性のあまりの大声に驚き何事かと

ハッ!とトンネルを振り返りました。

するとそこにはとんでもないものがありました・・・・











妙に動きの不自然な人らしきものが

後ろのトンネルからワラワラと出て来たのです!!











Mはとっさに外の男性に目をやると

その男は



「ニヤッ〜」



とかすかではありましたが笑っているのです!!






「ヤバイ!!」






そう直感で感じたMは窓を閉めるよりも早くアクセルを踏みその場を立ち去りました。






M>「・・・・・・・・・・・・・・・・」





W>「・・・・・・・・・・・・・・・・」





暗黙の了解という奴でしょう。

家路に着く途中は何もなく無事に帰ることはできたそうですが

二人は震えながら、自宅に着くまで暫く何も言えなかったそうです。

2人が何か物理的な危害を加えられた訳ではありませんが

このお話で確実に言える事は あのトンネルで




「MとWは何かこの世のものでないものを見た・・・」




という事です・・・




実際あのトンネルに纏わるお話はこれだけじゃありません。

もしこのお話をお読みになって 実際にあのトンネルへ行って何かありましても

私は一切責任は持ちません。

全ての行動は自己責任でお願い致します。