GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

一中のお化けトイレ
1999年/投稿者: (zen)

このお話は私が埼玉県上福岡市に住んでいた頃に

実際新聞でも取り上げられた学校にまつわるお話です。

ある夏休みの中学校でこんな噂がたちました。



「学校のトイレに幽霊が出る」



それはその中学校の校舎からちょっと離れた

今は使われていない外付けのトイレの事でした。

夜中にその女子トイレで幽霊を見たという人が後をたたないそうなのです・・



学校では当時その噂話で持ち切りで

「うちの学校にいるのー?」

「嫌だねー」

と 恐がる人達がほとんどでしたが

なかにはそういうものが好きな人もいます。



するとある男子A君が 「確かめに行かない?」 と言い出しました。

そうクラスの仲間に声をかけていたのですが

流石に夜中に学校のトイレを探検するのは気味が悪いです。

しかもそんな噂がたっている時にならなおさら恐いですし

結局その人を含めて3人しか集まらず

夜中に男3人で噂の 「おばけトイレ」を確かめに行く事になりました。



それぞれ待ち合わせた時間と場所に集まり

一人の男子B君が懐中電灯を持って来てました。

これで準備はOKです。

さぁ、いよいよ事の真相を確かめにトイレまで向かったのですが

C君が「やっぱりやめない?」と A君とB君に言いました。

直前まで来ましたが、この暗闇とあの噂話があっては

C君の気持ちも分からないでもないです。

そういうC君に対してA君は言いました。

「今更引き返すなんて駄目だ!」

「ここまで来たんだからちゃんと確認しないと気が済まない」 というのです。

B君はというと・・ 「どっちでもいいよ、行くんならいくで帰るんなら帰ろう」

そんな感じでその場は話し合っていたのですが

C君もA君の押しに負け 3人は結局トイレに行く事になりました。






「さて、誰から行くか?」 突然A君が言い出しました。

「え?!」

「3人で一緒に行くんじゃないの?」 B君とC君が声を揃えて言いました。

A君は、にやけながら こういいました。

「なんだよお前らびびってんのか?」

「幽霊なんている訳ないんだよ。じゃ、俺が先に入ったらお前らも行けよ?」

「これでどうだ?」

B君とC君は別にA君が先に入ろうと後に入ろうと結局一人で行く気はありませんでしたが

とりあえず「それならいいよ」といい A君に懐中電灯を渡しました。

「よし、じゃ行ってくる。お前ら逃げるなよ。」

そう言いながらA君は例の「女子トイレ」に向かっていきました。

入り口である木造のドアを「ギギギィィーッ」と開けると 中は真っ暗でした。

その頃B君とC君は

「あいつもよく一人で行けるよなー」

「何も起こらなければいいんだけど・・」

そんな事を言っている間にもA君はもう トイレの中にいて

B君とC君には見えなくなっていました。






懐中電灯の光を頼りに A君はトイレの中を色々と調べていました。

正面にある割れた鏡がなんとも不気味です。

その女子トイレには個室が3つありました。

どこかから水でも漏れているのでしょうか



「ピチャン、ピチャン」



本当に気味が悪いです。

A君は思い切って個室のドアを開けました・・・






何もありません。






何かないかと懐中電灯で中を調べていると何か聞えてきました・・

















「コツーン・・コツーン・・ガラガラ・・」
















「・・!?な、なんだ?」

ちょっと恐くなったA君は個室から顔を出すようにして音のする方を見てみました・・






すると・・






トイレに入った時よりなんか全体が広く感じたそうなんです。

なぜかそこには長い廊下があり 向こうの方に 「非常口」の青白い光まで見えました。






「さっきと違う!!」






A君はただならぬ恐怖を感じました。

額から油汗がでてきました。

すぐにでも外に出たかったのですが





「出口がない」のです。





さっき入って来たばかりの木造のドアが どこにもないのです!

全て白い壁で覆われていました。

そうやって出口を探していると さっきの音が近づいてきました。







「コツーン・・コツーン・・ガラガラガラ・・・」






「ガラガラガラガラ・・」






「なんなんだよ!おーいB!C!」






A君は流石に外にいる二人に助けを求めました ・・

が・・

向こうからの返事はありません。
















「コツーン・・コツーン・・ガラガラ・・」

















その時、音がさっきよりも近く感じられました。

ハッと振り返って廊下の奥を見つめていました・・

なんとその廊下は一本の廊下ではなく

突き当たりを左に行ったところにも廊下があったのです。











その角から・・











全身血まみれの看護婦さんが壊れたワゴンを押してこっちに向かって歩いて来たのです!


「コツーン・・コツーン・・ガラガラガラガラ」

「うっ、うわぁぁぁーー!!」

A君はさすがに恐怖しました。

出口もないこのトイレで 血まみれの看護婦さんが こっちに向かって歩いて来てるのです!

A君はとっさに入り口から手前の個室トイレに逃げ込みました。






「ハァ・・ハァハァ・・何だよ・・何なんだよあれ・・!」

恐怖のあまり手が震えていました。

「ガチャン!」と壊れていましたが

なんとかカギをかけて個室の奥でうずくまっていました。

そうしている間にもあの音は近づいてきます・ ・






「コツーン・・コツーン・・ガラガラ」







「もうやめてくれ!やめてくれよー!」






A君は叫ぶように繰り返してました。

すると・・





















「バタン!!!!」





















と一番奥の個室トイレのドアが開いた音が聞えました・・

「う・・うそだろ・・やめてくれー!」

「来ないでくれー!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!!」

何度も言いました。

しかし・・





















「バタン!!!」





















今度は隣の個室トイレのドアが開きました!

もうあの看護婦さんはそこまで来てるのです!

A君はうずくまってひたすら

『ごめんなさい!ごめんなさい!!』

とガタガタと震えながら言いつづけていました。






すると・・・

何の音もしなくなりました・・

耳が「キーン」となる程あたりは静まりかえっていました。

「いったのか・・?いなくなった?!」

泣きながらうずくまっていたA君はふと






ドアの上の方に「何かがいる」事に気がつきました。






ハッ!と目を上げたそこには






さっきの血まみれの看護婦さんが

ワゴンの上に乗って ドアからA君を見下ろしていたのです!







目をカッ!と見開いてものすごい形相だったそうです。

A君はそのまま失神してしまいました。

外にいたB君とC君が 「あいつ遅くない?」

「ちょっと一緒に見に行ってみない?」

そう言ってドアを開けて個室の中で倒れている A君を発見しました。

A君はそれ以来「気がおかしくなって」 病院に入院してしまいました。

よくよくその学校の事を調べていると

その中学校が出来る前 その場所は戦時中の病院だったそうです。

今でも校庭から不発弾が発見されたりとか

当時大勢の人達が死んだ場所だったみたいです。

苦しんで死んでいった人達の怨念が 今でもあの場所に残っているのでしょう・・・