投稿者/丼大好き


これは、自分が就職と同時に入った社宅に住んでいた頃の話です。 その頃は一人暮らしで、その日も私しか家にはいませんでした。 その当時、ある個人的な事情により 私は就職してから4年近く住んでいたその社宅を引っ越すことになり その準備に日々追われていました。 そう、丁度今ぐらいの時期だったと記憶しています。 ある日、仕事から帰ってくる早々に引越しの荷物をまとめていた私は 当時ローンで買ったばかりの一眼レフを見つけ 「そうだ、折角だから思い出に何枚か写真を撮っておこう」 と急に思い立ち、幸いカメラの中に数枚フィルムが残っていたので ついでに使い切るつもりで部屋の中をあちこちと撮影し始めたのです。 その時はもう夕日もほとんど沈んで、辺りもさすがに暗くなってきていました。 一通りリビング(のようなもの)を撮影したあと 今度は廊下(+台所)に出て風呂場とかも撮影しようとしました。 その時に、あの異変は起きたのです・・・。 それまで普通に作動していたシャッターが急におりなくなったのです。 (あれ、おっかしいなぁ。ついさっきまではちゃんと動いてたのに?) 最初は暗すぎるからダメなのかと思い、ストロボに設定したのですが全くダメ。 何度撮影しようとしても今度はうんともすんとも言わなくなってしまったのです。 ふと、気がつくと、いつの間にかその空間の闇だけが濃くなって 空気も違ってきている事に気がつき 何か嫌な予感がした私は仕方なくそこの撮影は一旦中断し リビングに戻って再度挑戦してみたのです。 ・・・ところが、条件は何も悪くないし 電池もまだしっかりとある、作動音もしている。 なのに、全くシャッターはおりないし、何も見えない。 ファインダーを覗いても真っ暗・・・。 指でレンズを塞いでる訳でもなければ、覗き窓(?)が汚れているわけでもない。 「おっかしいなぁ、何だコレ・・・!?」 頭によぎる悪い予感を振り払うように、わざと声を出して悪態をつきながら(?) いろんな角度からカメラを眺めてみるが、どこにもおかしな所は見当たらない。 半ばパニックになりながら、もう一度ファインダーを覗いてみました。 すると今度は、ファインダー一杯の人間の眼が見えたのです。 「おいおい、何で自分の眼が移るんだよ。壊れたんかな?」 「・・・て、待てよ・・・えぇ!?」 その事に気付いた瞬間、 私は思いっきり肝を潰して反射的にカメラから顔をのけました。 ・・・そう、私の持っているカメラの構造上 そんな事はありえないのです! つまり、「カメラの前に誰かが立っている」以外には・・・ 絶対にありえない話なのです。飛び退いた瞬間、それまで動かなかったシャッターがおりたのです。 その写真には何が写っていたのでしょうか・・・? 実を言うと、現在でも謎です。 理由はその後多忙のため現像に出し損ねてしまい 引越しのドサクサでネガを紛失してしまったからです。 そして本音を言うと、もしそこに本当に何かが移っていたらと思うと 正直怖くて二の足を踏んでしまったからです。 だって、考えても見てくださいよ。 もしそんなもの見ちゃったらその家に帰りたくなくなっちゃいますよ。 仕事から帰ってきてそいつが玄関にでも立っていたら・・・。 いくら引っ越し間近といっても・・・ねぇ。ちなみに、そのボロ社宅は今でも建っております。

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