れ物
投稿者/すず


7年程前の暑い夏の夜、涼みに行こうと思い 当時付き合っていた彼と高原にドライブへ行きました。 時間的にはそんなに遅い時間でもなく 行った高原も夏の時期で大学生の合宿も多く賑わっていました。 そんな町並みの中で見つけたんです。気味の悪い家を。 入り口には大きな鉄製の錆びた門があり 玄関は欧風の大きな扉、門から玄関までは庭になっており 誰も手をつけていないような感じに荒れていました。 間違いなく廃屋でした。 そして、家を囲む塀は土壁に瓦の屋根のついた純和風だったのも覚えています。 固く閉じられている門の真正面に車を止めたんですが、妙に気味が悪く感じられました。 早くその場から離れたい!!その事を彼に伝えようと運転席側に顔を向けたとき 運転席側の窓を青白い男の人が通り過ぎて・・滑っていった感じに移動して行ったんです。 この家の人??と思いフロントガラスに目を移しますが、前には誰も歩いていません。 もう一度運転席側に目を戻しますが、そこにはもう誰も居ません。 彼は食い入るようにその家をみつめていました。猛烈に怖くなりました。 ここに居てはいけない! 「早く帰ろう」私は必死に彼に言いました。 「急にどうしたの?」といいながらも車を出してくれた彼でしたが 高原から降りてきた時変な事を言い出しました。 「何か・・大事な忘れ物をしてる気がする」と。 あの家の前に落としてきたような気がする、もう一度戻ろう! 取りに行かないと!といいだしたんです。 そこで初めて私が見たものを話しました。 だから行きたくないし、戻りたくも無いという意思も伝えました。 怖がっている私がいた為その時は諦めてくれました。 また翌日でも行ってくると言って。 アパートに着きましたが、私は怖くて暗い部屋の中には入れませんでした。 彼に電気をつけてもらおうと先に入ってもらいましたが・・・ 「お!!」という声が聞こえ、私が見たものは本物だったんだよと 暗い部屋の中で言っているのです。 話を聞くと、「窓から青白い光が出て行った」と言うのです。 翌日その「忘れ物」を取りに同じ場所を探しに行った彼は 同じ場所を見つける事が出来ずに帰ってきました。 あれから7年。 その彼とも別れ、今日までお互い何事もなく生活しています。 どういった忘れ物だったのかもわからないままですが、なんだかとても大事な物だったそうです。 そして、思い出したように私はその場所を探しに行くんですが 未だに見つける事ができないでいます。 もしかしたら探さない方がいいのかもしれないですね。

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