い道
投稿者/町蔵


数年前まではよく、怪奇スポットと呼ばれる場所に行っていました。その夏も、恒例となったミステリーツアーに行くことになり友人達六人と、二台の車で出かけました。場所は埼玉県のとある怪奇スポット。昔、宿の主人が家族を惨殺したといわれる山荘が 今も残っているらしいのです。よくある話ですが、そこはやはり、 「でる・・・」 と口コミで広がった有名な場所です。 その場所を知ってる友人Aの乗る車を先頭に私達は夜の道を走ります。山間部に入り、自動販売機の並ぶ休憩所で一休みすることに。「ここからは一本道だから、迷うこともないよ。 でも途中、車を止めて歩いて行かないと入れないほど 荒れた道を行くからね」 場所を知るAが説明します。「あっ、そうなの? じゃ、悪いけど先に行っててくんない。B子が気分悪いんだって」 私達はB子とその彼氏を置いて、先に出発しました。 残りのメンバー一台で一本道を進み、その荒れた道に入りました。「ほんとにこれじゃ車は無理だ」 荒れた道は舗装もされず、背の高い草が覆い被さっていました。山道は外灯も無く、それだけで薄気味の悪いところでした。私達は懐中電灯を持ち、歩き始める。 「なんか雰囲気悪い・・・」 霊感があるというC子がぼそりと呟いた。 しばらく進むと、Aが声を上げた。 「あれ。おかしいな、まだ着かないよ」 「迷ったか?」 とは言うものの一本道です。迷いようがありません。 「戻ったほうがよくないか?」 私達は怖じ気づき、各々の顔を見比べました。誰の顔にも不安が見て取れます。戻ろうということになり、元来た道を引き返します。ところが・・・「・・・!」「おい!どういうことだよ!」誰かが叫びを上げました。なぜなら 道が「三本」に分かれていたのです。ゾッとしました。そこにいる全員が感じているはずです。 「戻ろう・・・」「いや、このまま進もう」恐怖からか、皆声も荒く言い合いました。 「このままじゃ、嫌なことが起こりそう・・・」 C子の呟きに全員が冷静さを取り戻しました。 「とにかく俺たちが来たのは一本道なんだから、この道は間違ってる。戻ろう」私はみんなを説き伏せ、戻ることにした。しかし戻ったのはいいが、再び・・・「そんな馬鹿な!」道は二本に分かれていた。右と左。知らず知らずに全員が身を寄せ合う。 不気味な空気が包んでいた。どちらに進もうか途方に暮れたその時 「おおい! A! C子!」 と声が左の道の方から聞こえてきた。私達は安堵のため息を吐いた。その声は後から来たB美とその彼氏だった。「助かった!」 私達は無事帰路につくことができた。 だが、あのまま迷っていたならば・・・いや、考えまい。 私はここにいるのだから。

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