GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

貧乏神
2000年/投稿者: (No name)

わたしは占い師なぞをしてるのですが、それなりに霊感があります。

それは、いいのですが

ある日わたしのうちの玄関に見知らぬ男が立ちはじめました。

「あ〜。いつもの、浮遊霊かな?」 って、あんまり意識せずに見過ごしていました。

玄関から入ってこないしね。

悪さしないだろうって・・・・。

男が立ち続けて1ヶ月・・・・

我が家に次々と不幸がおこりはじめました。

最初はわたしの運転する車にバイクがわき見でつっこんできたのです。

しかし、バイクが悪くとも警察では

「バイクと車の事故の場合は、車のほうが加害者になります」 といわれてしまい

損害賠償させられるハメに。

保険を使ったのでその事故はよかったのですが・・・・・




その事故から、1ヶ月後 あいかわらず男は玄関にいます。

「こいつのせいかな?」 ってすこし思いはじめました。

でも、除霊できるほどの霊力はないので様子をみてました。

そして、事件はおきました。

夫の自殺未遂・・・・。

夫の名誉のために言いますが彼は自殺するような考え方をする人間ではありません。

仕事もマジメに行ってて仕事が楽しいと言うタイプでした。

しかし、男が立ち始めてからというもの

なぜか、ノイローゼ気味で仕事に行かなくなってしまったのです。

まあ、収入はわたしも当時、看護婦でなんとかなっていたので

「転職すれば?」くらいにしか考えてませんでした。

夫を家に残して、仕事に出かけ、帰ったときでした。

夫がグッタリとしています。

「どうしたの?」と聞くと、ゴミ箱を指差しました。

見ると、50錠くらいの鎮痛剤のカラが・・・・・

「飲んだのか・・・・・」と冷静に判断しようと努力しながら飲んだ薬を確かめました。

市販のクスリ・・・

これは、50錠飲んでも、死なないはず・・・

水を飲ませて、吐きださせなきゃ・・・

夫の口に、無理やり、水を含ませて飲ませても、何も出てきません。

前も、友人が同じようなことをして看護婦ということで呼び出されたときの経験から

寝かせて様子を見ても平気だと判断して表沙汰になるのをふせぎました。

我ながら、冷静だなあ・・と思いました。

しかし、精神的なショックは隠しきれず

そして、もしあの玄関の男がそうさせたなら・・ と怒りが出てきました。







動揺してるわたしを見て玄関の男が

はじめてイヤな笑いをするではないですか。

普段は無表情に突っ立ってるだけなくせに・・・。

このままだと、コイツにわたしたち一家が殺される・・・

そう観念したとき、アタマのどこからか、ある言葉が出てきました。

「そいつは、貧乏神だ。おまえなら、闘える・・・」

びっくりしながらも、今まで、何かと言うと、 わたしを導いてくれたあのひらめきだ!!

と確信したわたしは、戦うことにしました。

(わたしの霊感は声でなくて、言葉がアタマに浮かぶタイプだったのです。)

貧乏神に対して、堂々とこう言ってやりました。

「あんたなんか、怖くないわよ!ぜってー倒すからね!」

すると、貧乏神の姿が消えたのです。

「え?こんな簡単だったの?」と思っていたら・・・・

その日の夜から、眠ったまま3日間起きれませんでした。

誰が起こしても 「ねむい・・」 というだけで眠りつづけてたそうです。

その、眠ってる間に見た夢に貧乏神がでてきました。

三日も寝たのに覚えてるのは、その一場面だけ・・・

仲間を連れてきたのかカマを持った死神みたいなのを連れて・・・・

わたしのまわりをグルグル回り

「クビを狩ろうか・・焼いてしまおうか・・」などと脅すのです。

恐怖のあまり、縮こまるわたしに 夢の中でまた、ひらめきが・・・・

「ハッタリでも、なんでも、ヤツらをビビらせなきゃ・・」

そして、同時にハッタリだとわかっていながら 「わたしは、アマテラスです!!」

と、神々しく言ってやりました。

すると、いきなり、空から雪が降ってきてすぐに稲妻が落ちたのかのように

目の前の世界がフラッシュしました。

そして、目が覚めました。

目が覚めた瞬間、「勝ったんだ・・」って思いました。

玄関をすぐに確認しいくと、あの男はいません。

部屋の空気も、淀みがなくなり、いつもの部屋になってました。

夫も、ノイローゼ気味がウソのように、明るくなり

いつもの夫になり、会社にも復帰しました。