GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

幽霊アパート
1999年/投稿者: (zen)

このお話は私のお友達の埼玉県に住む大学生Sさんが実際に体験したお話です。

彼女は昔から霊感が強く、度々霊現象などを目撃していて

こういったお話は慣れていらっしゃるようでしたが

今度のお話は彼女から無理に聞き出したお話です。

あまりこのお話は人に話したくなかったようです・・・

以下の文章はSさんの体験談そのままを記しています。



あれは私が、新しいアパートを借りて一ヶ月がたとうとしていた頃です。

いつもの様に学校が終わりその日はたまたま友達等と遊ぶ約束などしてなくて

真っ直ぐ自分のアパートに向かって帰りました。

アパートについても何もやる事もなくテレビを見たり本を読んだりと

私なりのちょっとした休憩時間を過ごしていました。

そんな事をしているうちに、あっという間に時間が経ってしまい

「ちょっと早いけどお風呂にでも入ってしまおう」

そう思いながらバスルームのドアを開けました・・

するとそこには、明らかに私のものではない

長い黒髪がバスルームのあちこちにいっぱいに落ちていたのです。






「やだ・・何これ・・」






パッと思い付いたのが友達のA子でした。

A子は確か黒髪でロングでしたから



「彼女か・・?」



そう思ったのですが

彼女はまだ私が新しいアパートに住み始めてから

一度も部屋に呼んだ事はなかったのです。

ましてやバスルームになんか入れるはずはありません。

引っ越して一ヶ月もたとうとしてるのにどうして今更

こんな得体の知れない髪の毛がいっぱい落ちてるのか・・






まさか泥棒・・?






いや、泥棒にしては何か盗まれたものがある訳でもないし

黒髪のロングヘアーなんて考えられません。






ストーカー・・?






いや、私はそんな狙われるようなガラではありませんでした。

私はいくら考えても分かりませんでした。

結局、その髪の毛は全部拾い、ゴミに出して捨てました。

誰のかもわからない髪を触るのはとても嫌でしたが

こんなものがいっぱい置いてあってはろくにシャワーも浴びれません。

一応ついでにお風呂の掃除もして奇麗にしておいたつもりでした・・・






次の日・・






今日は学校帰りに友達と一緒にご飯を食べて

その後友達は私のアパートに遊びに来てました。

部屋に帰ってくるなり、いきなり友達が 「ごめんトイレ貸して!」

と よっぽど我慢していたのでしょう。

私は「ははは、来るなりトイレか」 と笑っていたのですが・・

私のアパートはユニットバスで トイレとお風呂が一緒になっている為

昨日のあの長い髪の毛を思い出してしまいました。

すると、中から友達が出て来て・・

「ねぇねぇ・・●●さぁ・バスルーム掃除した方がいいんじゃない?」

「?・・・・」

友達が妙な事を言ったので聞き返しました。

「え!?なんで?昨日掃除したんだよ?」

私はそう言いながらバスルームに向かいドアを開けました・・

















「うそ・・・なんで!!」
















そこには昨日全て捨てたはずの

あの黒い長髪がまた床いっぱいに落ちていたのです!!

「ど、どうしたのよ・・? いきなり叫ばないでよ」

「だって・・・ちょっとおかしいよ!」

「なんなのよここ!」

私は昨日の出来事を友達に話しました。

「なんか嫌だね・・部屋変えて貰った方がいいんじゃない?」

「なんか変だよここ・・」

友達の言う通りです。

私は一刻も早くこの部屋から出たくてしかたありませんでした。

結局その日は友達は帰ってしまい嫌な夜を一人で過ごす事になりました。

そんな夜、私が寝ていると・・・











「コツ・・コツン・・・コッ・ツン・・コッ・・ツ」











「2:20かぁ・・誰だろう・・こんな時間に・・」

私は半分寝ぼけていてドアの方に向かい

「誰ですか・・?」

ドアに向かって聞きました









「・・・・・・・」









ドアの向こうから返事は返ってきませんでした。

私はその日、すごく眠かったのでそんな事は気にせず

そのまま布団に戻って寝てしまいました。

特に何か変な事が起こる訳でもなく、ぐっすりと眠ってしまいました。










次の日の夜・・










今日は、学校を早めに終わらせてアパートの管理人さんに

「こういう訳で・・部屋を出たいです・・」

と伝えてきました。

色々手続きがあってまだこのアパートからは出れないとの事なので

明日からしばらく友達の家にお邪魔になる事になりました。

ですから今日はこのアパートで寝る最後の夜です。

あの長い髪の毛が落ちていたバスルームはあれから一度も開けていません。

お風呂等は友達の所で済ませトイレなどは近くのコンビニで済ませていました。

まるで浮浪者のようですが

どうしてもあのバスルームだけは開けたくなかったんです・・

しかし、どうせそんな生活も今日で最後です









「なんでこんな所選んじゃったんだろう・・」

「怖いよ・・・・・」







そんな事を思っていたら

なんだかウトウトとして来たので布団を敷いて横になりました・・・







何時くらいだったでしょう・・・

あまり鮮明ではありませんが夜中3時過ぎぐらいでした・・たぶん・・

またあの音が聞えてきたのです!







「コツ・・コツ・・ン・・コツン・・コツン・・コツン」












「コツン!コツン!」











次第にその音は大きくなっていきました!

今日ははっきりと聞えましたが

何かプラスチックの様な硬いもので強く叩く音なのです。

しかも昨日はドアを叩く音かと思っていましたが違いました・・・

私の住んでるアパートは2階なのですが・・

恐ろしい事にその2階の窓からその音は聞えてくるのです!

幸いカーテンを閉めておいたので何が当たっているのかは分かりません

しかし・・



「コツン!!コツン!!コツン!コツン!!」



うるさいくらいに窓に何かが当たっています!

「もしかして、虫か何かが当たっているのかも・・?」

私のアパートには2階にとても近い位置に街灯があったので

そこに集まる虫達か何かと思って、しばらく我慢していました・・・・

すると・・ 「コツン!ジジジジジジー」 セミの鳴き声でした。

「なんだぁ・・・・セミだったんだ・・ハァ〜・・怖かった・・」

そう思って布団から出て カーテンを「シャァァー」っと開けたのですが・・

なんと、そこに居たのはセミではなく・・・

















朱い服を着た髪の長い女が、 両手を窓にピッタリとくっつけ

爪で窓を 「コツン!コツン!」と叩いていたのです!!




















そしてこう言いました・・・







「ついた・・よねぇ・・」












「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!」












その叫び声を聞いてか、下に住んでいる住人が

「ドンドンドン!」

「どうしたんですか!!大丈夫ですか!」

そんな声をかすかに耳にしたまま私は気を失ってしまいました・・

翌々不動産屋さんに、このアパートの事を調べてもらったら

以前このアパートで若い女性がお風呂場で自殺をして亡くなっていたそうです・・

私が見たあの女性はその方なのでしょうか・・

今私は別のアパートで暮らしていますが

今もまだあの呪われたアパートでは誰かが暮らしています。

私と同じ目に逢わなければ良いのですが・・・

しかし、あの時最後に聞いた

「ついた・・よねぇ・・」 とは 一体なんの事だったのでしょう・・・

皆様もちょっと空気の違うアパートやマンションには十分お気を付け下さい・・・

あなたのアパートは大丈夫ですか・・?