GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

ふすまの手
2000年/投稿者: (五十嵐)

あれはまだ私が中学校にはいる前のことでした。

当時、両親と一緒に寝ていた私は 妙な気配に目を覚ましたのです。

頭上にはふすまがあり、見ると少し隙間が空いています。

誰かがトイレにでも行ったとき閉めそこねたのだろうと

気にせず寝てしまおうとしたときです。

小さく 『カタン』 という音が聞こえ、それはふすまを開ける音に変わりました。





















・・・やけにゆっくりと。



















不審に思った私は、思い切って頭上を見上げたのです。

まず目に入ったのは皺皺の手。

その手はゆっくりとふすまを開けていくのです。

見たくもないのに目がそらせず 私はふすまの向こうにいるモノを確認。
























それは老婆でした。

























きちんと正座をした、白髪の老婆。

その老婆は私の枕元まで来ると 顔を覗き込んできました。

寝た振りをしていると 老婆は私の目を無理矢理開かせようとする。

私は怖くなって・・・

そこで気を失ってしまいました。

ひょっとしたら夢だったのかもしれません。

しかし、私の頬にかかるあの髪の毛の感触と

ふすまについた手形と枕元に落ちていた大量の白髪 それの説明はどうにも付きません。

今でもふすまに隙間があると怖くて眠れません。

もしかしたら、その向こうには誰かが居るかのしれないのですから。