今から5年前の話です
2000年の夏
当時12歳だった私は、両親と6歳の弟の家族4人で伊豆の別荘に来ていた。
その年、私の両親は別荘を手に入れ、誇らしげだった。
その別荘は2階建てで、長い間廃屋状態だったところを手直ししたものだった。
賑やかな別荘街からは離れた場所にあり、静かというよりは寂しい場所だった。
ここで私たち家族は残り少ない夏休みを静かに過ごすつもりだった。
その日の夕食後、突然電話がかかってきた。
母親が電話に出ると、女性の声で
「殺してやる、殺してやる」
と、言ってるのが聞こえたらしい
不安そうにしている母に父は
「ただの間違いかいたずら電話だから心配するな」
と言い聞かせました。
夜、家族が床につこうとした時にも、
同じ電話が2階にひいてあった別の電話にもかかってきた。
「殺してやる、殺してやる」
母は父に受話器を渡した。
父は「ふざけるな!」と言って電話を切った。
翌朝早く、私は喉が乾いて起きてきた
そのとき電話のベルを聞いて受話器を取った。
するとやはり「殺してやる」という女性の声が聞こえたのだ。
母親がベルの音に気付き起きてきて、私は恐怖に震えた。
2日目の夜もその電話はかかってきた。
母は父に、この電話について話していた。
止まらないこの女性の声に、家族の不安は募るばかりだった。
そして翌日
恨みを買う憶えのなかった両親は、地元の警察に助けを求め
どこから電話がかかってきているのかを知ろうとした。
警察が来たことを知られてしまったのか
なかなか電話はかかってこない、と全員が思った時、
ついにベルが鳴った。
父が受話器を取るとそこからは、あの女性の声が聞こえてきた。
警察は逆探知機を使って調べ始めた。
そして、父が受話器を置くと、警察の人は驚くべき結果を伝えた。
「犯人は絶対つかまらないと思いますよ」
「電話はこの家の2階からかかってきています」
電話は誰もいないはずの2階からかかってきていたのだ・・・
私たち家族はすぐにこの別荘を手放した。
その後ここがどうなったかは知らない。
もしかすると、
未だにこの電話からは魔界からの声が流れ続けているのかもしれません。