GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

ドッペルゲンガー
1999年/投稿者: (zen)

このお話は昔友人から聞いたお話で

実際に人が死んでいるそうです。

更にこのお話は 「聞いたり」「見たり」するだけで呪われてしまうとの事ですので

注意して下さい・・


あれは私が高校生だった頃のお話です。


私と友人Aは部活の帰りに 近くのファーストフードでくつろいでいました。

Aとは中学校は違ったものの 高校で一緒になった弓道部で親しくなり

気軽になんでも話せるいい友達でした。

Aと話す話題は特に部活の事で、次の試合の事などを話しながら

しばらくおしゃべりを楽しんでいました。

そんなAが会話をわって突然・・

A>「お前さ・・もう1人の自分って知ってる?」

と珍しく非現実的な事を言い出したのです。

「あぁ知ってるよ、それと会っちゃうと死んじゃうって奴だろ?」

A>「そう、それなんだけどさ・・」

普段そんな事を口にしないAが突然そんな事を言ったのと

妙に暗い雰囲気だったので私は聞き返しました。

「ん?どうした?まさか会っちまったのか?」

「・・・・・」

Aは無言でうつむいています。

A>「わかんない・・俺もはっきり見たわけじゃないけど、なんか・・疲れてるのかなぁ・・」

「おいおい、まさかそんなもの信じてるんじゃないだろうな?お前らしくないぞ」

A>「はは、そうだね」

私は妙に落ち込んでるAを励ましました。

でも正直いってそんな話しは信じてませんでした。

自分と同じ人間がいて、その人と出会ってしまうと死んでしまう・・

絶対に有り得ません。

そう信じていたかったのですが・・


ある日、私が部活に出ると弓道部の顧問が

先生>「お、丁度いい所にいた 一週間後●●高校と試合が決定したぞ」

「今からしっかり練習しとけよ」

「あ、そうそう、お前A見なかったか?」

「いや、今日は会ってませんけど・・」

先生>「そうか、まぁいい、Aにも伝えておいてくれよな」

先生はそう言いながら忙しそうにどこかへ行ってしまいました。

私にとって他校との試合は嬉しいものでした。

Aにもさっそく伝えたかったのですが今日の部活にはAは現われませんでした。

Aが部活に顔を出さない事など滅多にありませんでしたから

私は気になって家に着くなりAの家に電話をかけました。

「もしもし?Aか?」

A>「あぁ、ごめんごめん、なんか調子悪くてさぁ・・」

「頭ガンガンするんだよね・・風邪かもしんない」

「そうか・大丈夫か?」 「あ、そうそう、今日聞いた話しなんだけど一週間後試合だってよ」

「出れそうか?」

Aは特に変わった様子もなくただ単に風邪を引いているだけの様でした。

A>「うん、その頃には治ってるよきっと俺も早く練習したいよ・・」

「そうかそうか、じゃあまたな」

そう言って電話を切ろうとしたら、突然Aが・・



A>「・・・なぁ・・」


「!え?なに?」

突然沈んだAの声に私は驚きました。

「どうしたんだよ?また何かあったのか?」 私が聞き返すと・・

A>「昨日さ、俺の部屋で勉強してる時、座りっぱなしで疲れたから
立ち上がって気分転換に窓開けたらさ・・



















いたんだよ・・外に・・



















この前言ってたもう1人の自分って奴が・・」

Aの声はどんどん暗くなっていきます。

「え・・?お前まさか本当に・・見ちゃった・・の?」

私もAの真剣な声にとても嘘だとは思えませんでした。

更にAは話し始めました・・

A>「あぁ・・今度ははっきりと見えちゃったんだ・・」

「それでさ、そいつ外からこっちを見てボーッと突っ立てるんだよ」

「俺も怖くなって窓を閉めようとしたら、そいつ何か言ってるんだ・・」

「閉めた窓に耳を当てて聞いてみると・・」
























「ムルク、ムルク、ムルク、ムルク・・・」

























「って訳のわかんない事ずっと言ってるんだよ!」

「それから俺ずっと頭痛くて、もう俺おかしくなりそうだよ・・」

Aは泣きそうな声で話してくれました・・

Aはしばらく学校と部活を休み、自宅で休養をとることになり

試合当日まで姿を現す事はありませんでした。

そして試合当日・・ Aは真っ青な顔で現われ、まるで死人のような顔をしていました。

「おい、大丈夫か・・」

私が聞くと 「あぁ・・なんとかな・・薬のんだら結構大丈夫になったよ・・」

何だがとても弱々しい声でした。

試合が始まり、ぞくぞくとうちの部員達が弓を放っていきます。

私の番も終わり、次はAの番でした。

「がんばれよ」 私が言うと

A>「あぁ・・」

こめかみを押さえながら相変わらず弱々しい声で返事をしました。

フラフラとおぼつかない足でAが弓を構え出したその瞬間!!














「グアァァァァァーー!!」













Aが突然頭を押さえながら叫び出したのです!

会場にいた人達やうちの部員達は

「どうした、どうした」の嵐でその場はパニックになっていました。

誰かが電話をして、やがて救急車が来たのですが・・・



Aはその場で死んでしまったのです・・・



原因不明の脳死だそうです・・

それから何日後かに私の友達が

「妙な写真を見つけた」というのですぐにそいつの所へ行きました。

そいつは新聞部の部長で この前の弓道の試合を学校の掲示板に

写真付きで載せようかと思っていたらしく

試合当日の弓道部の部員達の写真を沢山持っていました。

その部長が写真を差し出しながら・・

部長>「この写真なんだけど・・なんかヤバくない・・?」

手に取って見てみると、それはAの写真でした・・

「・・なんだよ・・これがどうしたんだよ・・」

私は最初何が写っているのか分かりませんでした・・

部長>「よく見てみろって・・」

もう一度目をこらして見てみると・・

それは・・

Aの頭の後ろで・・・















Aの顔そっくりな人間がAの後頭部めがけて弓を構えている写真だったのです!!















私は前にAが言っていた 「もう1人の自分」の事を思い出しました。

「これはヤバイよ・・・ちゃんと供養してもらおう・・」

私はそう言って、その写真をお寺に持っていきました。

それからはなるべくあの事件の事は思い出さないようにしています・・・



もう1人の自分・・・



どんな理由でいつ現われるのか・・

Aが最後に聞いた「ムルク」とは一体なんだったのでしょう・・・

1つだけ確実なのは





「出会ってしまうと死んでしまう」





という事です・・

この事実だけは私も否定できません・・

こんな間近で実際に人が死んでいるのですから・・



今、窓の外にいるんじゃないですか・・


もう1人の貴方が・・